人生の「残り時間」ということ――「宮古島の英語人間」補遺

●額田勲氏の発言 前立腺がんに見舞われ、放射線治療という過酷な治療を選択した医師で、多くの著書のある額田勲氏が、ある対話の中でこのように発言している。 「第二の人生とは、生と死のせめぎ合いばかりかというとそんなことだけではない。がんということ…

狭まる包囲網?

昨日、前々回のエントリーで話題にした南風原町の沖縄料理の店に行ったら、 「土日祝祭日は全面禁煙」の真新しい張り紙が…。 喫煙席と書かれた張り紙の真下にも。 ぼくは煙草をすわないが、 包囲網(何の?)がますます狭まっているような体感。 正岡子規の…

 ハマオリ

今日は旧暦3月3日、ハマオリ(浜下り)ということで、 ボーダーインクの女性陣(+その女性の友人たち)は全員、勝連の海へ。 干潮は13時44分。 毎年裏切られてきたので、成果を期待せずに、男性陣は黙々とお仕事。 それにしても、男ばかりの事務所の…

 喫煙室あります

南風原町の、かなり知られた沖縄料理の店に入った。地元の人にも観光客にも人気の店だ。(心当たりのある方はたずねてみてください。以下に述べるような光景を目撃するはずです) 昼食時間に近いせいか店は混み合っていた。 タイミングよく椅子席が一つ空い…

 宮古島の英語人間。

3月の連休を宮古島に行ってきた。 友人から家を新築したのでぜひたずねてくるようにという誘いがあったからだが、 それは表向きの理由。 久しぶりに酒を飲みたかったのである。 飛行機に乗って酒を飲みにいったのである。 まことに豪勢なはなしだ。 友人は…

とんがった精神風景

定期検診で行った病院の待合室で印象深い体験をしたので、そのことについて書く。 その日の待合室はいつになく閑散としていた。インフルエンザのせいだろうか。 病院スタッフは全員、患者さんはチラホラとマスクをしていた。 受付をすませて、ぼくは2列目の…

 為念

1993年7月14日の「琉球新報」。 「県教育庁 集団暴行致死事件を重視」 「学校カルテ作成など通知」 「生徒指導の充実・強化目指す」 「県教育庁は十二日までに、中学生集団暴行致死事件が 大きな社会問題になっている事態を重視、さらに生徒指 導の充…

沖縄の教育行政のDNA

県下の公立小中学校の全生徒を対象として、沖縄県教育委員会が作成・指導した「子ども理解のための指導・支援カルテ」、これは2003年7月から実施されているという。 今年5月に、この「支援カルテ」の存在が明るみに出てから琉球新報、沖縄タイムスの記…

 フーコーの言葉

ミシェル・ フーコーは、「古典主義時代はあなたのどの著作の中でも、軸となる時代になっています。この時代の明晰さ、あるいは全てが統一され、露にされていた時代、ルネッサンスの『可視性』への郷愁を、ご自身も感じていらっしゃるのでしょうか」という問…

「ソテツガナシ」と「ソテツ地獄」

『聞き書き・島の生活誌(2) ソテツは恩人 奄美のくらし』(盛口満・安渓貴子)を読む 今年2月に、『聞き書き・島の生活誌(1) 野山がコンビニ 沖縄島のくらし』(当山昌直・安渓遊地=編)、『聞き書き・島の生活誌(2) ソテツは恩人 奄美のくらし』…

いやな世の中の”常識”

朝の9時半ごろ、会社に電話がかかってきた。 受話器をとると、 「○○運輸の**というものですが、□□△△さまのお宅でしょうか」 という男の声。 「いやちがいます。□□△△の自宅ではなく勤めている会社です」 「どうも失礼しました。□□△△さまの連絡先ご存じない…

 内村剛介死去

内村剛介が死去したことを今日知った。 1月30日に亡くなったらしい。心不全。 享年88歳。 ソ連がロシアであること、そして、 ロシアがソ連であることを、 内村の著書によって思い知らされた。 エセーニンの詩も内村訳で読んだ。 日本のことをジャパン呼…

援助交際の東京と沖縄のちがい

圓田浩二の『援交少女とロリコン男──ロリコン化する日本社会』(洋泉社新書、2006年)に、次のような記述がある。 「またマイによると、彼女が援助交際を行う際に、自分が中学生や女子高生であると明かしたことはなく、一九歳や二〇歳の『女子大生』と名…

*[仕事の周辺] 新年のご挨拶 新年明けましておめでとうございます。 ボーダーインクは、仕事始めに、 留守番を一人残して、 例年どおり識名宮に参拝してきました。 お宮の中では、どこかの会社の作業服を着た10人ほどが、 お払いを受けていました。 背中し…

  南山・高嶺、大里の地名を歩く

このブログで告知の効果などまるでないのは分かっているが、 古くからの会員であることと、 一度は告知というのをしてみたかったので。 南島地名研究センター地名巡検案内 南山・高嶺、大里の地名を歩く 日 時:11月23日(日)午前10時〜午後4時 集合…

法事

昨日、仕事がらみの告別式に行ってきた。 焼香の列がつづいている側の壁の 目立った場所の何カ所かに、 貼り紙がしてあった。 初七日(○月○日○曜日)および 四九日(○月○日○曜日)の法事は、 当会館□□の間で執り行います。 本土では葬祭場で法事が催されるこ…

 不純な向上心

最近はご無沙汰しているが、10年ほど前まではよく碁会所に通った。 そのときに経験したことである。 若い人なら自分より強い人と打って腕をあげたいと思うのが普通だが、 お年寄りのなかには上手の人とは打ちたがらない人が少なくない。 根を詰めて考える…

伊藤さんの志望動機全文

今朝(8月28日)の琉球新報に、アフガニスタン東部で武装グループに拉致され、27日に遺体として発見されたNGO「ペシャワール会」の伊藤和也さん(31)のワーカー(現地で働く人)志望動機全文が載っていた。 読みながら肌がざわつくのを覚えた。 …

 「クリティカル(批評的)」にもいろいろありまして

7月15日の沖縄タイムスの「文化ノート」というコーナーに、与儀武秀の署名で「沖縄映画と批評的吟味」という文章が載っていた。 ぼくが先月から3回にわたって連載してきた「否定知識人たち」、および番外編の作文と密接に関係するので、つつかせてもらう…

ビジネスの語法

郷友会の集まりに参加したときのこと。 ある会員が両親がともに亡くなったということで、郷友会を脱会したという報告があった。 それを聞いていた会員の一人が、「この組織も展望がないなー」と言うのが聞こえた。 一瞬だが白らけた空気が流れた。 言った本…

  否定知識人たち(番外編) 消費される沖縄?

(このブログを立ち上げる前に、ボーダーインクのホームページ内にあった「電柱通り物語」というコーナーに載せた文章です。文中に出ている日付からすると、2003年12月末のものと思われます。相変わらず可愛げのない文章を書いていたことがわかります…

  否定知識人たち (その3)

否定知識人たちは、映画や文化一般について面妖な理解の仕方をしていて、ここまでそのことついて言葉を費やしてきた。今回は、沖縄の映画シーンに中江裕司が登場したことの意味をぼくなりに整理してみる。それは同時に、ぼくが出版の世界で欲望してきたこと…

  村上春樹の「象の消滅」を読む

琉球新報に共同通信編集委員小山鉄郎の署名入りで、「風の歌 村上春樹の物語世界」という記事が連載されている。 連載10回目の6月25日の記事で「象の消滅」について触れられていた。 「象の消滅」は村上春樹の短編小説の中で、ぼくがもっとも好きなもの…

  否定知識人たち (その2)

なぜ中江裕司はある種の知識人たちから、こうも悪しざまに言われるのだろうか。90年代以降ぼくは、地元の新聞などで、知識人たちによる中江裕司に対する揶揄や批判やあてこすりを何度読まされた知れない。(以後これら知識人のことを否定知識人と呼ぶ) 中…

  否定知識人たち (その1)

(この文章、すこし長くなったので3回に分けて掲載します。その後に、4、5年前に書いた内容的に関連のある文章を、特別編としてアップします。) 6月18日の琉球新報「落ち穂」欄に、沖縄映画研究の現状を痛烈に批判した世良利和の「沖縄劇映画大全」と…

戦場のルーチンワーク

上原正稔の「パンドラの箱を開ける時−沖縄戦の記録」の第130回(琉球新報6月3日夕刊)には、次のような一節もある。 特に、彼は沖縄人に心底、不審を抱き、スパイ扱いしていたから、ただでさえ軍広報紙になり下がっていた沖縄新報はもはや「新聞」とよ…

戦場の給料

上原正稔が琉球新報の夕刊に断続的に連載している「パンドラの箱を開ける時−沖縄戦の記録」をときどき読んでいる。それの133回(6月6日)にこんな一節がある。 宗貞は「こんなところでなんだが」と百円札を一枚、上間に握らせた。「まだ給料を渡してな…

  「沖縄は左翼の島」?

古い話題で恐縮だが、佐藤優が琉球新報に連載している「ウチナー評論」の3月8日、15日、22日の3回は「左翼と右翼」というテーマであった。この文章の冒頭はこうである。 「沖縄は左翼の島で、特にマスコミが偏向しているという話が、一部の内地メディ…

 市販のシーミー料理

連休の最終日にあたる六日、わが家のシーミー(清明祭)をおこなった。 料理は近くのスーパーに注文して造ってもらった。 こんなことは初めてである。 例年だと、栄町の市場で材料を買ってきて、妻が娘たちに手伝わせて、前夜から準備するのだが、今年は事情…

金武町のマチュピチュ

連休後半の3、4、5日の3日間を、ぼくたち夫婦と娘母子の6人で北部に行った。 北部といっても金武町。はじめは宜野座村を予定していたのだが、4月の末に電話で問い合わせると、どの宿泊施設もすでに満室。いつも行きあたりばったりだからこうなる。 や…