沖縄的言説風景

チルダイした

「大城(立裕=引用者)の文学的業績は沖縄の現代思想である反復帰論の思想とセットになったときにこそ、21世紀に入る文学的・思想的条件を獲得することができるのである」 (比屋根薫「2011 年末回顧 3 小説」、沖縄タイムス、2011年12月22日) 「沖縄の現…

 「クリティカル(批評的)」にもいろいろありまして

7月15日の沖縄タイムスの「文化ノート」というコーナーに、与儀武秀の署名で「沖縄映画と批評的吟味」という文章が載っていた。 ぼくが先月から3回にわたって連載してきた「否定知識人たち」、および番外編の作文と密接に関係するので、つつかせてもらう…

  否定知識人たち(番外編) 消費される沖縄?

(このブログを立ち上げる前に、ボーダーインクのホームページ内にあった「電柱通り物語」というコーナーに載せた文章です。文中に出ている日付からすると、2003年12月末のものと思われます。相変わらず可愛げのない文章を書いていたことがわかります…

  否定知識人たち (その3)

否定知識人たちは、映画や文化一般について面妖な理解の仕方をしていて、ここまでそのことついて言葉を費やしてきた。今回は、沖縄の映画シーンに中江裕司が登場したことの意味をぼくなりに整理してみる。それは同時に、ぼくが出版の世界で欲望してきたこと…

  否定知識人たち (その2)

なぜ中江裕司はある種の知識人たちから、こうも悪しざまに言われるのだろうか。90年代以降ぼくは、地元の新聞などで、知識人たちによる中江裕司に対する揶揄や批判やあてこすりを何度読まされた知れない。(以後これら知識人のことを否定知識人と呼ぶ) 中…

  否定知識人たち (その1)

(この文章、すこし長くなったので3回に分けて掲載します。その後に、4、5年前に書いた内容的に関連のある文章を、特別編としてアップします。) 6月18日の琉球新報「落ち穂」欄に、沖縄映画研究の現状を痛烈に批判した世良利和の「沖縄劇映画大全」と…

  「沖縄は左翼の島」?

古い話題で恐縮だが、佐藤優が琉球新報に連載している「ウチナー評論」の3月8日、15日、22日の3回は「左翼と右翼」というテーマであった。この文章の冒頭はこうである。 「沖縄は左翼の島で、特にマスコミが偏向しているという話が、一部の内地メディ…

沖縄ナショナリズムという倒錯

(この文章は、宮古在住の東風平恵典が主宰する雑誌「らら」に載せるために、「すばる」2月号(2007年)の特集「『復帰』三十五年、オキナワの『心熱』」をテーマとして書いたものだが、「らら」の発行が遅れているために、目取真俊に関する部分を独立…

 沖縄の多層的な現実について

「いま想起されるのは、数カ月前私のブログに寄せられたコメントである。沖縄出身の二十代の若者で、県内移設でもいいのではないか、県外移設にこだわる理由がわからない、という趣旨だった。「県内では沖縄全体の負担が減らない」という際の「沖縄全体」と…

  所得格差について

4月17日の「琉球新報」に、県統計課がまとめた2006年の勤労統計調査結果が載っていた。見出しは「労働時間長く、給与少ない」「県内06年平均1780時間21万円」「全国と格差拡大」「98時間多く、6万円低く」となっていて、「全国平均を10…

座喜味彪好氏の「北朝鮮問題を考える」を読む

3月26日と27日の両日、沖縄タイムスに座喜味彪好という人の「北朝鮮問題を考える」(1)(2)という文章が載っていた。内容的に特別なことが書かれているわけではないが、ぼくはとても好もしい印象を受けた。座喜味氏の肩書きは「元県副知事」となっ…

  「左翼の島」?

すこし古い話題だが、佐藤優が琉球新報に連載している「ウチナー評論」の3月8日、15日、22日の3回は「左翼と右翼」というテーマであった。この文章の冒頭はこうである。 「沖縄は左翼の島で、特にマスコミが偏向しているという話が、一部の内地メディ…